誰もが一度は憧れる"ハッキング"。あなたもやってみようと思ったことはありませんか?しかし実際やろうと思っても、無理な相談です。今回は皆さんが想像するハッキングではなく、お手頃なものを紹介します。
一般的(?) なハッキングと言えば、色々なサーバーを経由して目的のパソコンに進入して、素人には理解できない凄い事をしている・・・というのを想像されると思います。
ですが今回は、勝手にパソコンを操作しやすい知人や会社などを相手に、ちょっとお茶目な悪戯をします。
お茶目とありますが、ファイルを勝手に引き出したり削除をしたりなど、笑えないようなことはしません。そこそこパソコンに詳しい人なら、クスッと笑ってしまうような悪戯を目指します。お約束ですが、自己責任でお願いします。
「Becky!」というメール・ソフトがあります。このソフトを起動すると下のような画面が数秒間表示されてから、Becky!本体が起動します。

ここからが問題でしてBecky!起動時に表示される画像はBMP形式で、インストール・フォルダに「B2.bmp」という名前で保存されています。ということは、このB2.bmpを名前はそのままで、画像だけを他の奴にすり替えたらどうなるでしょうか。もちろん、そのすり替えられた画像がBecky!起動時に表示されます。
では、このB2.bmpを物凄いものに変更すればどうなるでしょうか。例えば18禁ゲームの画像とか、悪戯をする対象者をこっそりデジカメで隠し撮りした画像とか、Becky!を起動したのに何故かWindows起動時の画面が表示されたりと、いろいろと悪戯可能です。
起動時に表示する「B2.bmp」ですが、BMP形式で名前さえ変更しなければ特に問題は内容なので、知恵を絞って面白い画像を表示させてみましょう。

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このようにすることも可能です。こうやって見ていても「ふーん、こういうやり方があるのだ」としか思わないかもしれません。しかし実際にやられてみるとかなり焦ります。むろん私も物凄く焦りました。私の場合は、仕組んだ友人が何を血迷ったのか18禁ゲームのキワドイ画像を仕組んでくれました。焦った私は 「新手のウイルスか?こんな画像を表示するとはかなりタチが悪いな」と呟きながらPrint
Screenキーに手を伸ばしたのは言うまでもありません。
Becky!以外にも、起動時に何かしらの画像を表示するソフトは多数あります。驚く知人の顔を見たい方は、がんばって面白画像を仕込んでください。
「パッチ」というのが、世の中には出回っています。「日本語化パッチ」や「修正パッチ」など様々です。これは皆さんご存知の通り、パッチを当てることによって新たな機能の追加や修正などを行なう便利なものです。
今度はこれを使って悪戯をしてみましょう。具体的に言えば、FFFTPのメインウィンドウに表示される文字を変更していこうと思います。
それでは「FFFTP」を例に説明していきます。今回はFFFTPを使わせてもらいましたが、他のツールやソフトでも、文字列の変更はもちろん可能です。外国製ソフトの日本語化パッチを作成するのも可能です。
まずはResource Hacker(以後、「R.H」)のサイトに行って、DLしてください。外国のサイトなので、英語嫌いの人には辛いかもしれません。しかしご心配なく。日本語版も用意されているので、それをDLしましょう。何処に日本語版があるのか分からない人は「Japanese」で検索してください。
R.H起動後「ファイル→開く」でFFFTPのインストール・フォルダにある「FFFTP.exe」を選択。そうすると、ツリーが表示されたと思います。後は、自分のいじりたい部分を選択して、いじっていくだけです。
例えばFFFTPのメニューに表示される文字を変更したければ、「Menu→102→1041」を選択し、右のウィンドウに表示された文字列の中から、変更したい言葉を探します。見付かったら直接変更してください。
「接続」という文字を「コンタクト」という感じで変更していきます。その際にポップアップ・ウィンドウが出てくるので、それを参考にして手を加えましょう。文字の変更が終われば「スクリプトをコンパイルする」ボタンをクリックすれば、文字の変更が反映されます。文字列によってははみ出したりする場合がありますので、1つの単語を変更するたびに「スクリプトをコンパイルする」ボタンをクリックして、チェックしながら手を加えてください。
コンパイル後R.Hの「ファイル→保存する」で完了です。コンパイルするだけでは、文字列の変更は反映されませんので、ちゃんと保存するようにしましょう。 試しに「FFFTP.exe」を起動してください。文字列が変更されているはずです。
ファイル転送中に表示されるダイアログの文字を変更したければR.Hの「Dialog→109→1041」のところをいじってください。こんな感じでどんどん手を加えていきましょう。

なおツリーを1つ1つ開いていくのが面倒という方は、R.Hのメニューから「表示→ツリーを広げる」を選択すれば、すべてのツリーが開いてくれます。それと「接続」という文字列を変更したいけど、どこにあるのか分からない場合は「表示(V)→検索(T)」で探したい文字列を入れると、簡単に発見可能です。
R.Hはファイルをいじった場合、いじる前のファイルをバックアップ目的で「FFFTP_original.exe」という風に「_original」という文字列を追加して新規保存してくれます。そして手を加えたファイルは、そのまま「FFFTP.exe」というファイル名です。
次は差分ファイルの作り方です。 文字列変更前のFFFTP.exeを、自動で文字列変更後のFFFTP.exeに一発で変換してくれるのが、差分ファイルとよばれるファイルです。これを作っておけば、日本語化パッチを作成して配布する時などに便利です。
その作り方ですが、手を加える前と加えた後のFFFTP.exeを用意します。それとその二つのファイルの違いを自動で調べ、差分ファイルを生成してくれる「Wdiff」というツールが必要です。
Wdiffを起動したら「差分作成元」にいじる前のファイルである「FFFTP_original.exe」を選択し、「差分作成先」にいじった後のファイルである「FFFTP.exe」を指定してください。「差分ファイル」の名前ですが、お好きなのでどうぞ。今回は「FFFTP_UpData.Wdf」と付けます。
それが終わったら、メニューから「差分作成(S)→区分差分(A)」と選んでください。それで「FFFTP_UpData.WDF」が作られました。正常に作成できたら、メニューの「ファイル(F)→自己展開32bit(S)」を選んでください。これで「FFFTP_UpData.exe」が作られます。
差分ファイルを使用するには、パッチを当てたいファイル(今回はFFFTP)の実行ファイルが置いてある場所でパッチを当てる必要があります。具体的に言うと「D:\Program
Files\ffftp\」に今回作成したパッチを置いて、パッチをダブルクリックしないといけません。
しかし問題があります。新たにFFFTPをインストールして「FFFTP.UpData.exe」を実行しても「ファイルがオーブンできません」と表示されるはずです。 それもそのはずで、今回作成した差分ファイルは「FFFTP_original.exe」というファイル専門のパッチなのですから。つまり先ほど説明した差分ファイル作成時に、何もいじっていない差分元となるFFFTPのファイル名が「FFFTP_original.exe」となっていたのが、おかしかったのです。
R.Hで保存するときは「ファイル→名前をつけて保存」を選びましょう。「ファイル→保存」だと手を加えていないオリジナルのファイルに上書き保存してしまいます。今回なら「FFFTP.exe→FFFTP_custom.exe(手を加えた方)」と保存してください。名前を付けて保存すれば、オリジナルの方はFFFTP.exeのままです。その後、Wdiffで差分ファイルを作れば、完成です。
あとはこれをFFFTPがあるフォルダで実行すればいいだけです。そうすれば自動で、あなたの好きな言葉を散りばめたニューFFFTPが作られます。注意事項が1つありましてパッチを当てた場合、オリジナルのファイルは拡張子が自動的に「OLD」に変更されてしまいます。今回の場合でしたら「FFFTP.exe→FFFTP.OLD」という風に保存されているので、何か問題が発生したら「FFFTP.OLD→FFFTP.exe」とすれば元に戻ります。
FFFTP.exe (手を加えてない)
↓パッチを当てると
FFFTP.exe (パッチを当て、改造されている)
FFFTP.OLD (何も手を加えられてない。拡張子をexeにすれば元に戻る)
パッチ全てに共通する問題点というか、悩み所があります。それはパッチを当てるファイルが、パッチ作成に使用したファイルと同じバージョンでないと駄目だという事です。今回の場合でしたら、FFFTPのver.1.91で差分ファイルを作りましたが、このパッチはver.1.91のFFFTPにしか使えません。他のバージョンのFFFTPには使う事が出来ないです。悪戯をしようと思っていた友人がver.1.82を使っていれば、パッチを当てることが出来ないのでご注意下さい。 そして最大の問題は「差分ファイルを当てることによって、FFFTPが正常に動作しなくなる可能性」です。 今までいくつかのパッチを作りましたし、今回のFFFTPの件でも「動かなくなる」ということはありませんでした。しかしその可能性はあります。自己責任でどうぞ。
最後になりますが、「話は分かったけど、実際差分ファイルを作ってどうなるの?」「パッチって何?」という方もいるかと思うので、私なりにパッチを作りました。興味のある人はパッチを当ててみてください。もちろんですが、FFFTPのバージョンは1.91でお願いします。
http://air-ug.obi.ne.jp/FFFTP_updata.exe
突然ですが、問題が1つ発生しました。FFFTPの公式サイトにver.1.91が置いていないようで、最新版の1.92と古いけど安定したver.1.82しかありません。よってこのパッチは使い物にならなくなってしまいました。この原稿執筆時にはver.1.91が最新版だったのですが、時の流れは残酷です。パッチ作成にあたり、こういう悲劇は数多く繰り返されてきました。今回のケースならまだいいのですが、バージョンUPの激しい外国性ツールの日本語化パッチを作っている人は、大変だと思います。